宅建士合格教科書|2026年度(令和8年度)
第 17 章|例年 2 問出題(うち開発許可 1 問)

都市計画法

街づくりのルール。区域区分と開発許可の数字を図表で暗記する

この章で学ぶこと

例年 2 問出題(都市計画から 1 問+開発許可から 1 問)。出題パターンが固定された分野なので、2 問とも確保が目標です。

都市計画法の全体像 — 国土をどう区切るか

土地は隣とつながっていて動かせないため、各自が自由に建物を建てると、住宅の隣に騒音を出す工場が建つといった事態が起こります。そこで都市計画法は、①まず計画を立て(どこを市街地にし、どこにどんな建物を集めるか)、②計画とズレた土地利用に制限をかけ(開発許可・建築制限)、③必要な場所では行政等が事業として街を作る(都市計画事業)、という三段構えで計画的な街づくりを実現します。この章の後半で学ぶ開発許可は②の代表選手です。

都市づくりのルールは三段構え ① 計画を立てる 区域区分・用途地域・ 地区計画などを決定 ② 制限をかける 開発許可・建築制限で 計画とズレた行為を防ぐ ③ 事業を行う 都市計画事業・ 市街地開発事業を実行 守る 実現
図 17-1 都市計画法の構造。試験の 1 問目(都市計画)は①と②の前半、2 問目(開発許可)は②の後半から出ます。まず①の「区切り方」を地図として頭に入れます。

都市計画区域と準都市計画区域

計画の第一歩は、街づくりのルールを適用する範囲を線で囲むことです。都市計画区域は「一体の都市として整備・開発・保全する必要がある区域」で、原則として都道府県が指定します。2 以上の都府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定します。市町村や都府県の行政区画とは無関係に定められる(県境をまたいでよい)点も頻出です。

準都市計画区域は、都市計画区域の外だけれど「放置すれば将来の街づくりに支障が生じるおそれがある区域」です。高速道路のインターチェンジ周辺に無秩序に店舗が立ち並ぶのを防ぐイメージで、都道府県が指定します。準都市計画区域で定められるのは、用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・高度地区(高さの最高限度に限る)・景観地区・風致地区・緑地保全地域・伝統的建造物群保存地区の8 種類の地域地区だけです。あくまで「乱開発の予防」が目的なので、区域区分(後述)や市街地開発事業のような積極的な街づくりの計画は定められません。なお、準都市計画区域の全部または一部について後から都市計画区域が指定されると、その部分の準都市計画区域は廃止され、または重複しない区域に縮小されたものとみなされます。両者が重なることはない、と押さえてください。

区域区分(線引き)

都市計画区域の中は、市街化区域=「すでに市街地を形成している区域+おおむね10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と、市街化調整区域=「市街化を抑制すべき区域」に分けることができます。これが区域区分(線引き)です。区域区分は任意で、「すべての都市計画区域で定めなければならない」という肢は定番の誤りです。ただし例外として、三大都市圏の一定の区域や政令指定都市を含む都市計画区域では必ず定めます。線引きされていない都市計画区域は、試験では「区域区分が定められていない都市計画区域」(いわゆる非線引き区域)と表現されます。

日本の国土 都市計画区域=一体の都市として整備・開発・保全 ▼区域区分(線引き)で二分 市街化区域 すでに市街地+おおむね 10年以内に市街化を図る 市街化調整区域 市街化を抑制すべき区域 (緑を残すゾーン) 区域区分の定められていない都市計画区域(非線引き) 線引きは任意=定めないこともできる 準都市計画区域 放置すれば将来の街づくり に支障のおそれ 都市計画区域・準都市計画区域外 (上のどちらでもない区域)
図 17-2 国土の 5 区分。この図が本章全体の「地図」です。以降のすべての論点(用途地域・都市施設・開発許可の面積基準)は「5 区分のどこの話か」を確かめながら読みます。
2026年法改正

都市計画法の制度そのもの(区域・用途地域・開発許可の数字)には 2026 年度試験に向けた改正はありません。関わるのは刑法改正による用語変更のみで、罰則の「懲役・禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました(2025 年 6 月施行)。罰則の肢で旧用語が出たら疑ってください。

用途地域13種類と補助的地域地区

市街化する場所が決まったら、次は「どこにどんな建物を集めるか」の色塗りです。用途地域は住居系 8・商業系 2・工業系 3 の13 種類で、市街化区域には少なくとも(必ず)定め、市街化調整区域には原則として定めません。準都市計画区域にも定めることができます。試験では定義文の入れ替え問題が頻出で、全文暗記ではなくキーワードで判別します。

用途地域定義の判別キーワードイメージ・特徴
第一種低層住居専用地域低層住宅の良好な環境最厳格。コンビニも不可の高級住宅街
第二種低層住居専用地域主として低層住宅コンビニ程度は可
田園住居地域農業の利便の増進+低層住宅農地と低層住宅の混在地
第一種中高層住居専用地域中高層住宅の良好な環境大学・病院が可になる
第二種中高層住居専用地域主として中高層住宅やや店舗が増える
第一種住居地域住居の環境を保護「低層・中高層」の語が消える
第二種住居地域主として住居カラオケ・パチンコ可
準住居地域道路の沿道+業務の利便国道沿い。自動車修理工場など
近隣商業地域近隣住民への日用品の供給近所の商店街
商業地域主として商業の利便繁華街。ほぼ何でも可
準工業地域主として環境悪化のおそれのない工業危険性の高い工場は不可
工業地域主として工業の利便住宅は可・学校や病院は不可
工業専用地域工業の利便(「主として」なし)唯一、住宅が建てられない
暗記テク

定義文に「主として」が入るのは、第二種の 3 つ(二低・二中高・二住)+商業・準工業・工業の計 6 つです。工業専用には入らず(「工業の利便を増進する」と言い切ります)、近隣商業も「主たる内容とする」であって「主として」ではありません。あとは「道路の沿道」なら準住居、「日用品」なら近隣商業、「農業の利便」なら田園住居、と 1 対 1 のキーワードで即断できます。建物ごとの用途制限の表は建築基準法(次章)の守備範囲です。

用途地域を定めるときは、都市計画に容積率を必ず定めます。建蔽率も定めますが、商業地域だけは例外です(法律で 8/10 に固定されているため定める必要がない)。また低層住居専用地域と田園住居地域では、建築物の高さの限度(10m または 12m)も定めます。

補助的地域地区 — 名前の似た者どうしを引き離す

用途地域の色塗りだけでは表現しきれない「上乗せ・きめ細かさ」を担うのが補助的地域地区です。試験は名前が似たペアの説明を入れ替えて出題してきます。

地域地区どこに定めるか覚えるポイント
特別用途地区用途地域内地方公共団体の条例で用途制限を強化(上乗せ)。緩和には国土交通大臣の承認が必要
特定用途制限地域用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)制限すべき建築物の用途の概要を定める
高度地区用途地域内建築物の高さの最高限度・最低限度
高度利用地区用途地域内容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度など。高さは無関係
特定街区市街地内の一定の街区街区単位で容積率と高さの最高限度(+壁面の位置の制限)。超高層ビル街
高層住居誘導地区第一種・第二種住居、準住居、近隣商業、準工業の 5 地域のみ住居専用地域には定められない
防火地域・準防火地域市街地火災の危険を防除(規制内容は建築基準法)
風致地区都市の風致を維持すべき区域地方公共団体の条例で建築等を規制
景観地区市街地良好な景観の形成
都市計画区域 用途地域が定められた区域 特別用途地区 用途地域の内側に上乗せ 用途地域が定められていない区域 特定用途制限地域 市街化調整区域には定めない 中の「特別」 外の「特定」
図 17-3 「中の特別、外の特定」。特定用途制限地域は用途地域の外側専用ですが、市街化調整区域(もともと市街化を抑制していて別の門番がいる場所)には定められない点まで押さえると盤石です。

都市施設・市街地開発事業・地区計画

都市施設は道路・公園・上下水道・学校など都市に必要なインフラで、都市計画に定めたものを都市計画施設と呼びます。特に必要があるときは都市計画区域の外にも定めることができます(ゴミ処理場のように、都市に必要でも都市の中に置きたくない施設があるためです)。必ず定めるものは 2 つの組合せで覚えます。市街化区域と非線引き区域には、少なくとも道路・公園・下水道(避難・輸送・衛生という命を守る 3 点セット。上水道は含まれません)、住居系の用途地域には義務教育施設を必ず定めます。

市街地開発事業は、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの「面」で行う積極的な街づくり(ニュータウン建設のイメージ)で、定められる場所は市街化区域と非線引き区域のみです。市街化を抑制する調整区域や、予防目的しかない準都市計画区域には定められません。

都市計画の内容市街化区域市街化調整区域非線引き区域準都市計画区域
用途地域必ず定める原則定めない定められる定められる
道路・公園・下水道必ず定める必要に応じて必ず定める定められない
市街地開発事業定められる定められない定められる定められない

地区計画 — 「30日前・市町村長・届出」

地区計画は「○○通り沿い」のような小さな単位で行うオーダーメイドの街づくりで、建物のデザインや道路の配置まできめ細かく定めます(具体の中身を定める部分を地区整備計画といいます)。用途地域が定められている土地の区域ならどこでも定められ、用途地域が定められていない区域でも一定の場合には定められます。決定するのは身近な行政である市町村です。

最重要は届出制です。地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域)内で土地の区画形質の変更や建築等を行う者は、行為に着手する日の 30 日前までに、市町村長に届け出なければなりません。許可ではなく届出、知事ではなく市町村長、事後ではなく事前——試験は必ずこの 3 点のどれかを書き換えてきます。届出が地区計画に適合しないとき、市町村長は設計の変更等を勧告できます(命令や中止させる権限ではありません)。

都市計画の決定手続と都市計画事業の制限

都市計画は都道府県または市町村が決定します(「国が決定する」と出たら疑ってください)。区域区分のような広域・根幹的な計画は都道府県、地区計画など身近な計画は市町村という分担です。都道府県が決定するときは、一定の都市計画について国土交通大臣に協議し、その同意を得る必要がありますが、市町村が決定するときは知事との協議のみで、同意は不要です。この「同意の要否」の対比が狙われます。また、市町村が定める都市計画は、議会の議決を経て定められた市町村の建設に関する基本構想に即し、かつ都道府県が定めた都市計画に適合したものでなければなりません。市町村の都市計画が都道府県の都市計画と抵触するときは、その限りにおいて都道府県の都市計画が優先します。なお、市町村が定める「都市計画に関する基本的な方針」(いわゆる市町村マスタープラン)は、この基本構想に即して定める別の計画です。基本構想そのものをマスタープランと呼ぶわけではない点に注意してください。

手続の流れは、①案を作る段階で必要があれば公聴会等を開催 → ②案を公告し、公告の日から 2 週間、公衆の縦覧に供する → ③住民および利害関係人は縦覧期間の満了日までに意見書を提出できる → ④都市計画審議会の議を経て決定し、告示によって効力が生じる、という順です。なお住民側から動く制度として、土地所有者やまちづくり NPO 等が一定規模以上の土地について所有者等の 3 分の 2 以上の同意を得て都市計画の決定・変更を提案できる制度もあります。

都市計画事業等の制限 — 表を 3 つのルールに圧縮する

都市計画で道路や事業の予定地に指定された土地に建物が建ってしまうと、いざ事業を始めるときに立ち退き補償が膨らみます。そこで事業の進行段階に応じて建築等が制限されます。細かな表を丸暗記せず、次の 3 ルールで潰します。①事業地内(認可・告示後)は、非常災害の応急措置であっても、事業の障害となるおそれのある造成・建築・重量物の設置はすべて知事等の許可が必要(例外なしがひっかけどころ)。②建築物の建築は、どの段階のどの区域でも知事等の許可が必要(軽易な行為等を除く)。③造成(土地の区画形質の変更)は認可前の区域では原則自由だが、市街地開発事業等予定区域内だけは造成も許可が必要(本決定前から土地を押さえる「場所取り」の区域だからです)。

都市計画の決定・告示 事業の認可・告示 時間 予定区域 造成も建築も 知事等の許可 施設の区域・施行区域 建築のみ知事等の許可 (造成はこの規制の対象外) 事業地 造成・建築なんでも許可 応急措置も例外なし
図 17-4 事業の進行と規制の強まり。右へ行くほど事業の実現が近づくため規制が厳しくなります。「事業地内では非常災害の応急措置にも許可が必要」が最頻出のひっかけどころです。なおこの図は都市計画事業系統の規制だけを描いたもので、造成が規模基準以上なら別系統の開発許可(29 条)が別途必要です。

なお、田園住居地域内の農地で土地の造成や建築等を行う場合は市町村長の許可が必要です。農地と住宅の調和を守るための、考え方は市街化調整区域と同じ「門番」です。

開発許可(1) — 開発行為の定義と許可不要の例外

ここから毎年 1 問の開発許可です。趣旨は乱開発の防止。まず用語の定義から入ります。開発行為とは、「主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更(造成)」です。建てるための土地づくりだけが開発行為なので、建てる目的のない造成(青空駐車場・資材置場の造成)や、造成を伴わない建築だけの行為は開発行為に当たりません。

特定工作物は 2 種類あります。第一種はコンクリートプラント・アスファルトプラントなど周辺環境を悪化させるおそれのある工作物。第二種はゴルフコース(面積を問わない)と、1ha(10,000㎡)以上の野球場・庭球場・陸上競技場・遊園地・動物園・墓園などです。5,000㎡ の野球場はただの野球場で特定工作物ではない、という規模の線引きが頻出です。

① 建築物・特定工作物の建設が 目的の「土地の区画形質の変更」か 開発行為ではない 例: 青空駐車場の造成 いいえ はい ② 許可不要の例外に当たるか 面積小・農林漁業・公益・事業・応急 許可は不要 1つ該当すればOK はい いいえ 都道府県知事の許可が必要 (工事着手前に・書面で申請)
図 17-5 開発許可の判定チャート。本試験の開発許可の問題は、ほぼ全肢がこの 2 段階の判定で解けます。①で切れる肢(駐車場・小規模野球場)を見落とさないことが第一関門です。

②の例外のうち最重要が規模基準です。区域ごとに「これ未満なら許可不要」の面積が決まっており、順番に「1・なし・3・3・10」と唱えて覚えます。市街化調整区域だけはどんなに小さくても例外になりません。あえて緑を残すと決めた場所だからです。

区域許可不要となる規模補足
市街化区域1,000㎡未満三大都市圏の一定区域では 500㎡ 未満
市街化調整区域規模の例外なし面積を問わず許可が必要(最頻出)
非線引き区域3,000㎡未満—
準都市計画区域3,000㎡未満—
都市計画区域・準都市計画区域外1ha(10,000㎡)未満—
暗記テク

「市街化・調整・非線引き・準・区域外」の順で「1・なし・3・3・10」。国土利用計画法の事後届出「2・5・5・10・10」と混同しやすいので、「土地を作る話(開発許可)は数字が細かい、土地を買う話(国土法)は大雑把」で区別します。

許可不要の例外内容注意(ひっかけ)
① 小規模上の表の面積基準未満市街化調整区域にはこの例外がない
② 農林漁業用畜舎・温室等の生産施設、サイロ等の生産資材の貯蔵施設、農林漁業者の住宅市街化区域では使えない。農産物の処理・貯蔵・加工施設は対象外(=許可必要)。生産資材を入れるサイロ・種苗貯蔵施設は例外に含まれる
③ 公益上必要駅舎・図書館・公民館・変電所など学校・病院・社会福祉施設は含まれない(許可必要)
④ 事業の施行として都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業など問題文の「施行として」が目印。事業区域内でも事業と無関係な開発は許可必要
⑤ 応急措置・軽易な行為非常災害のため必要な応急措置、通常の管理行為・軽易な行為(車庫・物置等)—

例外はどれか 1 つに当たれば許可不要です。たとえば病院は③に入りませんが、市街化区域内で 900㎡ の病院用地を造成するなら①の規模基準でセーフになります。「病院だから必ず許可が必要」とは限らない——この合わせ技まで再現できれば、開発許可の 1 問はほぼ取れます。

開発許可(2) — 申請から工事完了公告まで

許可権者は都道府県知事(指定都市・中核市ではその長。以下「知事」と表記)です。申請前の準備として、開発区域内の土地・建物の権利者の相当数の同意(全員の同意は不要)を得るほか、公共施設との調整が必要です。既存の公共施設の管理者とは協議して同意を得る(今ある道路を潰すかもしれないから)、開発行為で新設される公共施設の管理者となる者とは協議のみ(まだ存在しない施設だから同意のしようがない)という対比で覚えます。申請は必ず書面で行い、予定建築物の用途や工事施行者などを記載します(構造・設備・価格は記載事項ではありません)。開発区域が 1ha 以上の場合、設計図書は一定の資格を有する者が作成しなければなりません。

審査基準は 2 本立てです。33 条の技術基準は全国一律で、用途地域への適合、排水施設の適切な配置(全建築物)、給水施設の配置(自己居住用は免除——水が出なくて困るのは本人だけですが、排水は周囲に迷惑をかけるので免除されません)などを審査します。34 条の立地基準は市街化調整区域だけに上乗せされる限定列挙の基準で、周辺居住者の日常生活に必要な店舗、温度・湿度・空気等について特別の条件を必要とする施設、農林水産物の処理・貯蔵・加工施設、地区計画の区域内の開発、条例で指定した区域、開発審査会の議を経たもの等に限って許可できます。なお 34 条が適用されるのは建築物・第一種特定工作物の開発行為で、ゴルフ場など第二種特定工作物には適用されません。

① 公共施設の管理者との協議など 既存=協議+同意/新設=協議のみ/権利者の相当数の同意 同意書などを添付して ② 都道府県知事へ書面で申請 予定建築物の用途・工事施行者などを記載 33条・34条の基準で審査 ③ 許可・不許可の処分 遅滞なく文書で通知/許可は開発登録簿へ登録 不許可なら開発審査会へ審査請求 ④ 工事 → 完了の届出 → 知事の検査 検査済証の交付を受ける 検査に合格 ⑤ 工事完了の公告 公告の前後で建築制限が切り替わる(図17-7)
図 17-6 開発許可の一生。⑤の公告で手続は完結し、新設された公共施設は原則として公告の日の翌日に市町村の管理に属します。開発登録簿は知事が調製・保管し、誰でも閲覧・写しの交付を請求できます(「利害関係人に限る」とする肢は誤りです)。

許可後に事情が変わったときの手続は、言葉の使い分けがそのまま出題されます。「始めるのは許可・やめるのは届出・引き継ぐのは承認(相続なら何もいらない)」とまとめて覚えましょう。

場面必要な手続
開発行為の内容の変更原則: 改めて許可/軽微な変更: 遅滞なく届出/許可不要の開発行為への変更: 手続不要
工事の廃止遅滞なく届出(許可は不要)
地位の承継 — 相続・合併(一般承継)手続不要(当然に承継)
地位の承継 — 売買等(特定承継)知事の承認

開発許可(3) — 開発区域の「中」と「外」の建築制限

開発許可はあくまで「土地づくり」の許可なので、その上に建てる建物についても、計画どおりの街になるよう時間軸で規制が続きます。工事完了公告の前は、造成中の土地に建物を建てられては工事も検査もできないため、原則としてすべての建築が禁止です。例外は 3 つ——①工事用の仮設建築物等、②知事が支障がないと認めたとき、③開発行為に同意していない土地所有者が自己の権利の行使として行う建築。なお建築が禁止されるだけで、造成中の土地の分譲(売却)は自由です。公告の後は、予定建築物以外の建築等が禁止されます(新築・改築・用途変更)。例外は 2 つ——①知事が許可したとき、②用途地域等が定められているとき(以後は建築基準法の用途制限がコントロールしてくれるからです)。

開発許可 工事完了の公告 時間 公告の前 原則: 建築物の建築は全部ダメ 例外: 工事用の仮設建築物/ 知事が認めた/不同意の地権者 ※土地の分譲(売却)は自由 公告の後 原則: 予定建築物以外はダメ 例外: 知事が許可した/ 用途地域等が定められている (以後は建築基準法で規制)
図 17-7 開発区域内の建築制限の時間軸。「公告前=建てるな」「公告後=予定どおりに建てろ」。それぞれの例外 3 つ・2 つまで数えて覚えます。

最後に開発区域の外です。市街化調整区域では、開発許可(土地づくりの門番)をすり抜けて、造成を伴わずに建物だけ建てる行為も放置できません。そこで市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域では、建築物の新築・改築・用途変更、第一種特定工作物の新設に知事の許可が必要です(43 条。建物専用の第二の門番)。許可不要となる例外は開発許可と同じ顔ぶれ(農林漁業用・公益上必要な建築物、都市計画事業の施行として行う行為、非常災害の応急措置、仮設建築物、通常の管理行為・軽易な行為など)です。開発許可を受けた区域内でも、公告後に予定建築物の用途を勝手に変えることは前述のとおり制限されており、「建てた後」まで規制が追いかけてくるのが調整区域だと理解してください。

ひっかけポイント

ここがひっかけ① 「許可・届出・承認」のすり替え

地区計画の区域内の行為=届出(着手 30 日前まで・市町村長へ)。都市計画施設の区域・事業地内の建築等=知事等の許可。開発行為の変更=許可(軽微なら届出)、廃止=届出、特定承継=承認。本試験はこの言葉をひとつだけ入れ替えてきます。「地区計画の区域内の建築は市町村長の許可が必要」は×です。

ここがひっかけ② 名前の似た地域地区

特別用途地区は用途地域の「中」、特定用途制限地域は「外」(かつ市街化調整区域を除く)。高度地区は「高さ」、高度利用地区は「容積率など」で高さは無関係。「高度利用地区は建築物の高さの最高限度を定める地区である」は定番の×肢です。なお「特定用途制限地区」という制度は存在しません(地域が正しい)。

ここがひっかけ③ 公益施設の範囲と「例外の合わせ技」

開発許可が不要な公益施設は駅舎・図書館・公民館・変電所など。学校・病院・社会福祉施設は入りません(民間が営利でも行う施設だからです)。ただし例外はどれか 1 つ満たせばよいので、市街化区域内 900㎡ の病院は規模基準で許可不要になります。「病院だから許可必要」と即断させるのが作問者の狙いです。

ここがひっかけ④ 市街化調整区域は二重の門番

調整区域には①規模の例外がない(どんな小規模でも開発許可)、②開発区域の外でも建築等に 43 条の許可が要る、という二重の規制があります。「調整区域内の 300㎡ の開発だから許可不要」「開発区域外だから自由に建築できる」はどちらも×。逆に、非常災害の応急措置や農林漁業用建築物なら許可不要です。

一問一答で総仕上げ

Q1. 都市計画区域は、市町村や都府県の行政区画とは無関係に指定することができ、2 以上の都府県の区域にわたる場合は国土交通大臣が指定する。(○か×か)

答え: ○ 都市計画区域の指定権者は原則都道府県ですが、2 以上の都府県にまたがるときは国土交通大臣です。行政区画とは無関係に(県境をまたいで)指定できます。

Q2. 無秩序な市街化を防止するため、すべての都市計画区域について区域区分を定めなければならない。(○か×か)

答え: × 区域区分(線引き)は原則任意です。区域区分の定められていない都市計画区域(非線引き区域)が存在します。必ず定めるのは三大都市圏の一定の区域や政令指定都市を含む都市計画区域などに限られます。

Q3. 準都市計画区域については、用途地域を定めることができるが、市街地開発事業を定めることはできない。(○か×か)

答え: ○ 準都市計画区域に定められるのは用途地域・特定用途制限地域など 8 種類の地域地区だけです。乱開発の予防が目的の区域なので、市街地開発事業や区域区分といった積極的な街づくりの計画は定められません。

Q4. 特定用途制限地域は、用途地域内の一定の地区において、その地区の特性にふさわしい土地利用の増進等を図るため定める地域である。(○か×か)

答え: × これは特別用途地区(用途地域内)の説明です。特定用途制限地域は用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)に定めます。「中の特別、外の特定」です。

Q5. 高度地区は建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区であり、高度利用地区は容積率の最高限度・最低限度等を定める地区である。(○か×か)

答え: ○ 高さの制限に関係するのは高度地区だけです。高度利用地区は土地の合理的かつ健全な高度利用のために容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度などを定める地区で、高さの限度は定めません。

Q6. 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域)内で土地の区画形質の変更を行おうとする者は、行為に着手する日の 30 日前までに、都道府県知事に届け出なければならない。(○か×か)

答え: × 届出先は市町村長です。地区計画は市町村が決定する身近な計画なので、届出の相手も市町村長です。「30 日前・市町村長・届出」の 3 点セットのどこかを入れ替えるのが定番の出題です。

Q7. 市街化区域内において、分譲住宅の建築を目的として 1,000㎡ の土地の区画形質の変更を行う場合、開発許可は不要である。(○か×か)

答え: × 市街化区域で許可不要となるのは 1,000㎡ 未満です。ちょうど 1,000㎡ は「未満」に当たらないため許可が必要です。「以上・未満」の境目まで正確に覚えてください。

Q8. 市街化調整区域内において、畜舎の建築を目的として 1,200㎡ の土地の区画形質の変更を行う場合、開発許可は不要である。(○か×か)

答え: ○ 畜舎・温室など農林漁業用の生産施設と農林漁業者の住宅のための開発行為は、市街化区域以外では面積を問わず許可不要です。調整区域に規模の例外はありませんが、農林漁業用の例外は使えます。

Q9. 病院の建築を目的として行う開発行為は、公益上必要な建築物に係るものとして、区域や規模にかかわらず開発許可が不要である。(○か×か)

答え: × 許可不要となる公益施設は駅舎・図書館・公民館・変電所などで、病院・学校・社会福祉施設は含まれません。ただし規模基準(市街化区域 1,000㎡ 未満など)に当たれば結果として許可不要になることはあります。

Q10. ゴルフコースの建設を目的として行う 8,000㎡ の土地の区画形質の変更は、開発行為に当たらない。(○か×か)

答え: × ゴルフコースは面積を問わず第二種特定工作物なので、その建設目的の造成は開発行為です。1ha 以上という規模要件があるのは野球場・遊園地・墓園などで、ゴルフコースには規模要件がありません。

Q11. 開発許可を受けた者が死亡した場合、その相続人は、都道府県知事の承認を受けなければ被相続人が有していた許可に基づく地位を承継することができない。(○か×か)

答え: × 相続・合併などの一般承継では、地位は当然に承継され手続は不要です。知事の承認が必要なのは、開発区域内の土地を購入した者などの特定承継の場合です。

Q12. 開発許可を受けた開発区域内では、工事完了公告の前であっても、開発行為に同意していない土地の所有者は、その権利の行使として建築物を建築することができる。(○か×か)

答え: ○ 公告前の建築禁止には 3 つの例外があり、①工事用の仮設建築物等、②知事が支障がないと認めたとき、③開発行為に不同意の権利者による権利行使としての建築は認められます。不同意者の財産権まで奪えないからです。

まとめ

都市計画法は「地図(5 区分)→ 色塗り(用途地域・地域地区)→ 門番(許可・届出)」の 3 層で整理できます。最後に数字と結論だけを一覧で総点検してください。

論点数字・結論ひっかけどころ
都市計画区域の指定都道府県(2 以上の都府県 → 国土交通大臣)行政区画と無関係に指定可
市街化区域の定義既成市街地+おおむね10 年以内に市街化区域区分は原則任意
都市計画の案の縦覧公告の日から2 週間住民・利害関係人が意見書を提出可
地区計画の届出着手の30 日前まで・市町村長へ「許可」「知事」「事後」なら×
第二種特定工作物ゴルフコース(面積不問)/1ha 以上の野球場・遊園地・墓園等1ha 未満の野球場は該当しない
開発許可の規模基準1,000㎡・なし・3,000㎡・3,000㎡・1ha調整区域に例外なし
変更・廃止・承継変更=許可(軽微は届出)/廃止=届出/一般承継=当然・特定承継=承認言葉の入れ替えに注意
完了公告の前建築禁止(仮設・知事が認めた・不同意者は例外)土地の分譲は自由
完了公告の後予定建築物以外は禁止(知事許可・用途地域等ありは例外)用途変更も規制対象
調整区域の開発区域外建築等に知事の許可(43 条)例外は開発許可と同じ顔ぶれ

次章は建築基準法です。都市計画法が用意した用途地域の上で、「その土地に何をどれだけ建てられるか」を具体的に決めるルールに入ります。この章の 13 種類の用途地域の並び順が、そのまま次章の用途制限・建蔽率・容積率の土台になります。