宅建士合格教科書|2026年度(令和8年度)
第 8 章|例年 3 問前後出題

報酬・監督処分・住宅瑕疵担保履行法

報酬計算を得点源に変え、監督処分の体系と資力確保を仕上げる

この章で学ぶこと

例年 3 問前後出題。報酬 1 問+監督・罰則 1 問+問 45 の住宅瑕疵担保履行法 1 問という布陣で、いずれもパターンが固定された「取れる問題」です。3 問すべての確保が目標です。

報酬計算の基本 — 速算式と消費税

宅建業者が受け取る報酬は、依頼者保護のため国土交通大臣の告示で上限が定められています(宅建業法46条)。上限を超えて受領すれば違反であり、監督処分と罰則(100万円以下の罰金)の対象です。計算の出発点は税抜の物件価格に次の速算式を当てはめた「基本報酬額」です。

税抜価格速算式(媒介・依頼者の一方から)計算例
200万円以下価格 × 5%100万円 → 5万円
200万円超 400万円以下価格 × 4% + 2万円300万円 → 14万円
400万円超価格 × 3% + 6万円1,000万円 → 36万円
200万円以下 5% 200万円超〜400万円以下 4%+2万円 400万円超 3%+6万円 0 200万円 400万円 取引価格(税抜) 例:1,000万円 → 36万円(+消費税で39万6,000円)
図 8-1 速算式の数直線。本試験の物件はほぼ 400 万円超なので、「3%+6万円」だけで大半の計算が終わります。「0 を 2 個消して×3+6万円」(例:5,000万円 → 50×3+6=156万円)と指算するのが速いです。

基本報酬額が出たら、最後に消費税を上乗せします。ここが正誤の分かれ目です。

また、計算基礎となる物件価格にも消費税が潜んでいます。土地は非課税、建物は課税なので、税込の建物価格が示されたらまず税抜に戻してから速算式に乗せます。手順を通しで確認しましょう。

  1. 土地 3,300 万円・建物 2,200 万円(税込)の売買の媒介。建物を税抜に戻す:2,200万 ÷ 1.1 = 2,000万円
  2. 計算基礎:土地 3,300万 + 建物 2,000万 = 5,300万円
  3. 速算式:5,300万 × 3% + 6万 = 165万円
  4. 課税事業者なら:165万 × 1.1 = 181万5,000円(依頼者の一方から受領できる上限)

売買・交換の報酬 — 媒介 1 倍・代理 2 倍・合計マックス 2 倍

速算式で出した基本報酬額を「誰から・いくらまで」受け取れるかは、取引態様で決まります。呪文はひとつ、「媒介 1 倍、代理は 2 倍、1 つの取引マックス 2 倍」です。

媒介(双方から依頼) 代理(Aから依頼) A(売主) B(買主) 宅建業者C 売買契約 基本額まで 基本額まで 合計=基本額×2 が上限 A(売主) B(買主) 宅建業者C 2倍まで 相手方からも可 合計=基本額×2 が上限
図 8-2 媒介と代理の受領構造。どちらのパターンでも、1 つの取引で動く報酬の総額は「基本報酬額×2」という同じ天井に収まります。代理だからといって取引全体の枠が 3 倍・4 倍に増えるわけではありません。
取引態様一方の依頼者から1 つの取引の合計
売買・交換の媒介基本報酬額まで基本報酬額 × 2 まで
売買・交換の代理基本報酬額 × 2 まで基本報酬額 × 2 まで
貸借の媒介借賃 1 ヶ月分以内(居住用建物は原則 0.5 ヶ月分)借賃 1 ヶ月分以内
貸借の代理借賃 1 ヶ月分以内借賃 1 ヶ月分以内

本試験の計算問題は代理が絡む形で出やすいので、数字で通しておきます。税抜 1,000 万円の宅地の売買で、宅建業者 C(課税事業者)が売主 A から代理の依頼を受けた場合です。

  1. 基本報酬額:1,000万 × 3% + 6万 = 36万円
  2. 代理なので 2 倍:36万 × 2 = 72万円
  3. 課税事業者の消費税:72万 × 1.1 = 79万2,000円(A から受領できる上限)

ここで C が買主 B からも報酬を受けるなら、A と B からの受領額の合計が 79万2,000円を超えられません。また、B 側に別の宅建業者 D が媒介として関与していた場合も同じ天井で、C と D の受領額の合計が 79万2,000円以内でなければなりません。「業者が増えれば枠も増える」という肢は誤りです。

貸借の報酬 — 1 ヶ月分の枠と権利金の特例

貸借の報酬は物件価格ではなく借賃を基礎にします。原則は単純で、媒介でも代理でも、双方から受け取る合計が借賃 1 ヶ月分+消費税以内です。ただし居住用建物の媒介にだけ、依頼者を守るための内側の枠がもう 1 つあります。

そして貸借の最重要特例が権利金です。居住用建物以外の貸借で、権利金(権利設定の対価として支払われ、返還されないもの。敷金は返還されるので対象外)の授受があるときは、権利金の額を売買代金とみなして売買の速算式で計算でき、借賃 1 ヶ月分と比べて高い方を上限にできます。売買とみなす以上、媒介なら双方それぞれからその額まで受領できます。「賃貸だから合計 1 ヶ月まで」という思い込みを頭から消すのがコツです。

貸借の媒介 — 依頼者から受け取れる報酬の上限は? 居住用建物か? 権利金の授受は? No(事業用など) Yes 双方合計で借賃1ヶ月分以内 一方からは0.5ヶ月分以内が原則 (承諾があれば割合変更可) No 双方合計で借賃 1ヶ月分以内 (配分は自由) Yes 権利金を売買代金と みなした額と1ヶ月分 の高い方まで
図 8-3 貸借の媒介報酬の判定チャート。居住用建物では権利金の特例が使えない点が最大の分岐です。なお貸借の代理は、どのルートでも合計 1 ヶ月分以内です。

暗記テク 売買は「媒介 1 倍、代理は 2 倍、1 つの取引マックス 2 倍」。貸借は「みんな合わせて 1 ヶ月、居住用は半分こ(承諾で変更可)」。権利金が出てきたら「居住用以外なら売買に化ける」と唱えましょう。

空家等の特例と報酬のその他ルール

2026年法改正(継続重要) 平成30年(2018年)1月に導入され、2024 年 7 月施行の報酬告示改正で対象・上限が拡大された低廉な空家等の特例が引き続き最重要です。税抜 800 万円以下の宅地・建物の売買・交換の媒介では、通常の上限にかかわらず、依頼者(売主・買主)ごとに 30 万円 × 1.1 = 33 万円(税込)まで受領できます(双方から受ければ 1 取引最大 66 万円)。要件は媒介契約の締結前にあらかじめ報酬額を説明し、合意すること。代理は媒介の 2 倍の枠内で同特例を準用します。旧制度(400 万円以下・売主側のみ・税込 19.8 万円上限)は廃止済みなので、旧数値の肢は誤りです。また長期の空家等の貸借の媒介・代理では、あらかじめの説明と合意を要件に、貸主からは借賃 2 ヶ月分 × 1.1 = 2.2 ヶ月分(税込)まで受領できます(借主からは原則どおり。双方から受ける場合も合計 2.2 ヶ月分以内)。

項目原則低廉な空家等の特例
対象すべての売買・交換の媒介税抜 800 万円以下の宅地・建物
一方からの上限速算式 × 消費税30 万円 × 1.1 = 33 万円(税込)
受領できる相手依頼者から売主・買主どちらの依頼者からも可
追加要件なし媒介契約締結前の説明 + 合意

報酬まわりには、金額計算以外のルールが 3 つあります。

監督処分 — 業者への 3 処分と宅建士への 3 処分

違反した業者・宅建士を市場から正すのが監督処分です。試験で問われるのはほぼ 2 点、「処分は 3 段階」と「誰が処分できるか」です。原則として処分するのは免許権者(業者)・登録地の知事(宅建士)ですが、違反は現地で起きるため、軽い方の 2 処分に限って現地の知事にも権限があります。最も重い処分(免許取消・登録消除)は、資格を与えた者しか奪えません。

宅建業者への監督処分 宅建士への監督処分 ① 指示処分 ② 業務停止処分 1年以内の期間 ③ 免許取消処分 免許権者 + 業務地の 知事も可 免許権者 のみ ②③は公告される(①は公告なし) ① 指示処分 ② 事務禁止処分 1年以内の期間 ③ 登録消除処分 登録地の 知事+ 行為地の 知事も可 登録地の 知事のみ 処分の公告制度はない
図 8-4 監督処分の体系。上から下へ処分が重くなります。①②は「現地の知事も可」、③だけが「与えた者のみ」という左右対称の構造を 1 枚で覚えましょう。
対比項目宅建業者宅建士
3 処分(軽 → 重)指示 → 業務停止(1 年以内)→ 免許取消指示 → 事務禁止(1 年以内)→ 登録消除
①②ができる者免許権者 + 業務地の知事登録地の知事 + 行為地の知事
③ができる者免許権者のみ登録地の知事のみ
手続原則としていずれの処分も公開による聴聞が必要(例外: 所在不明による免許取消しは聴聞不要)
公告業務停止・免許取消のみ公告(指示は公告なし)公告制度なし

免許取消処分には、該当したら必ず取り消される事由(必要的取消し)と、取り消すことができる事由(任意的取消し)の 2 種類があります。「しなければならない/することができる」の言い換えが定番の出題です。

必要的取消し(しなければならない)任意的取消し(することができる)
欠格事由への該当/免許換えをすべきなのにしていない/免許から 1 年以内に事業を開始しない・引き続き 1 年以上事業を休止/廃業等の届出がないと判明/不正の手段による免許取得/業務停止処分事由に該当し情状が特に重い/業務停止処分に違反 所在不明(公告から 30 日以内に申出なし)※聴聞不要/免許に付した条件への違反/営業保証金を供託した旨の届出がない(免許から 3 ヶ月経過後の催告からさらに 1 ヶ月)

この表の中でひとつだけ、聴聞のいらない処分があります。所在を確知できない業者への免許取消し(67条1項)です。免許権者は官報または当該都道府県の公報でその事実を公告し、公告の日から 30 日を経過しても業者から申出がないときは、聴聞を行うことなく免許を取り消すことができます。相手の所在が分からない以上、聴聞に呼び出しようがないためで、この公告が聴聞の代わりを務めます(67条2項が、聴聞を含む行政手続法の不利益処分の規定をまるごと適用除外にしています)。「所在不明の業者でも、免許を取り消すには聴聞が必要である」とする肢は誤りで、逆に「公告して 30 日経過後、聴聞を行うことなく取り消すことができる」は正しい肢です。

処分の前段階の手段として、国土交通大臣はすべての宅建業者に対して、知事はその管轄区域内で業務を行う業者に対して、指導・助言・勧告を行い、また報告を求め、事務所へ立入検査をすることができます。「大臣は自分が免許した業者にしか指導できない」とする肢は誤りです。

罰則 — 拘禁刑への一本化と代表パターン

2026年法改正 刑法改正(2025 年 6 月施行)により「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。宅建業法の罰則もすべて「◯年以下の拘禁刑」に読み替えられています。「3 年以下の懲役」という旧文言の肢はもう出題されず、従来の論点が新用語で問われます。刑の重さ・欠格期間 5 年などの中身は変わっていません。

罰則は全部を暗記する必要はなく、最重・代表・罰則なしの 3 グループを押さえれば足ります。

罰則代表的な違反行為
3 年以下の拘禁刑もしくは 300 万円以下の罰金(併科あり)無免許営業/名義貸しをして他人に営業させた/不正の手段による免許取得/業務停止命令に違反して業務を営んだ
2 年以下の拘禁刑もしくは 300 万円以下の罰金(併科あり)重要な事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為(47条1号)
1 年以下の拘禁刑もしくは 100 万円以下の罰金(併科あり)不当に高額の報酬を要求する行為(47条2号)※要求しただけで違反成立
6 月以下の拘禁刑もしくは 100 万円以下の罰金(併科あり)誇大広告等の禁止違反/不当な履行遅延/手付の貸付け等による契約締結の誘引(47条3号)
100 万円以下の罰金限度額を超える報酬の受領/専任の宅建士の設置義務違反
50 万円以下の罰金37 条書面の不交付/帳簿・従業者名簿の備付け義務違反/報酬額の掲示義務違反/守秘義務違反
罰則なし(監督処分のみ)35 条の重要事項説明義務違反/媒介契約書面(34 条の 2 書面)の不交付

あわせて 2 つの横断知識を押さえます。①両罰規定——法人の代表者・従業者が業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます(無免許営業・名義貸し等については法人に 1 億円以下の罰金)。②宅建士の過料——宅建士証の返納・提出義務違反、重要事項説明の際の宅建士証の提示義務違反は、刑罰ではなく 10 万円以下の過料です(「30 万円」「50 万円」に変える肢が定番)。

住宅瑕疵担保履行法 — 問 45 の定番を取り切る

品確法(住宅品質確保法)により、新築住宅の売主は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、引渡しから 10 年間の担保責任を負います。しかし売主が倒産してしまえば、この責任は絵に描いた餅です。そこで住宅瑕疵担保履行法は、責任の裏付けとなるお金をあらかじめ確保させる資力確保措置を義務付けました。適用場面は 8 種制限と同じ発想で、自ら売主の宅建業者が、宅建業者でない買主に新築住宅を売る場合だけです。

A(売主=宅建業者) B(買主=業者でない) 新築住宅の売買 構造・雨水部分に10年の担保責任 基準日ごとに実施 倒産しても補修費用を確保 資力確保措置(いずれか一方でよい・併用も可) ① 住宅販売瑕疵担保保証金の供託 主たる事務所の最寄りの供託所 1戸なら2,000万円・55㎡以下は2戸で1戸 ② 瑕疵担保責任保険への加入 国土交通大臣指定の保険法人と契約 保険金額2,000万円以上・10年以上
図 8-5 資力確保措置の全体像。売主業者の後ろに供託所または保険法人という「お金の裏付け」を立たせることで、10 年責任を空手形にしない仕組みです。買主 B が宅建業者なら、この仕組み全体が不要になります。

資力確保措置は 1 回やって終わりではなく、基準日(毎年 3 月 31 日)ごとの年次サイクルで管理されます。

資力確保措置の年次サイクルと制裁 新たな売買契約 締結できない 3週間以内に供託+届出 基準日 3/31 供託・届出の期限 50日経過日(以後は契約禁止) 基準日の翌日から起算して50日
図 8-6 届出を怠った場合の時系列。50 日のカウントは「基準日の翌日」から始まる点に注意してください。「基準日以後直ちに契約禁止」とする肢は誤りです。

ひっかけポイント

ここがひっかけ ① 権利金の特例は「居住用建物以外」だけ 居住用建物(アパート・マンション等の住居)の貸借では、権利金の授受があっても売買代金とみなす計算は使えません。また、居住用建物の媒介で一方から 0.5 ヶ月分を超えて受領するための承諾は「媒介の依頼を受けるに当たって」得るもので、契約成立後に取り付けた承諾では足りません。

ここがひっかけ ② 処分権者の限界 業務地(行為地)の知事ができるのは指示処分・業務停止処分(事務禁止処分)までで、免許取消し・登録消除は免許権者・登録地の知事しかできません。また国土交通大臣は、指導・助言・勧告や報告徴収・立入検査はすべての宅建業者に対してできますが、監督処分そのものは自らが免許権者である業者にしかできません。「大臣だから何でもできる」と読ませる肢に注意です。

ここがひっかけ ③ 重説違反に罰則はない 35 条の重要事項説明義務違反は監督処分の対象ですが、罰則(罰金・拘禁刑)はありません。一方で 37 条書面の不交付は 50 万円以下の罰金があります。「重説をしなかった業者は 50 万円以下の罰金」という肢は、この 2 つを混ぜたひっかけです。

ここがひっかけ ④ 瑕疵担保履行法の時期のすり替え 供託所の説明は「売買契約を締結するまで」であって「引渡しまで」ではありません。契約禁止の始期は「基準日の翌日から起算して 50 日を経過した日以後」であって「基準日以後直ちに」ではありません。時期を早めたり遅らせたりするだけの単純な作り替えが毎年のように出ます。

一問一答で総仕上げ

Q1. 消費税の免税事業者である宅建業者Aは、売買の媒介報酬として、速算式で算出した基本報酬額に 10% の消費税相当額を上乗せして受領できる。(○か×か)

答え: × 免税事業者が上乗せできるのはみなし仕入れ率分の 4%(× 1.04)のみです。× 1.1 ができるのは課税事業者です。

Q2. 土地 5,000 万円・建物 2,200 万円(消費税込み)の売買の媒介では、(5,000 万円+2,200 万円)× 3% + 6 万円を基本報酬額として計算する。(○か×か)

答え: × 建物価格は税抜(2,200 万 ÷ 1.1 = 2,000 万円)に戻してから計算します。基礎は 7,000 万円で、基本報酬額は 216 万円です(土地は非課税なのでそのまま)。

Q3. 売買の代理の依頼を受けた宅建業者Aは、依頼者と契約の相手方の双方から報酬を受ける場合、それぞれから基本報酬額の 2 倍まで受領できる。(○か×か)

答え: × 代理は依頼者から 2 倍まで受領できますが、相手方からも受ける場合は合計で基本報酬額の 2 倍が上限です。

Q4. 居住用建物の貸借の媒介において、宅建業者Aは、賃貸借契約成立の際に借主の承諾を得れば、借主から借賃 1 ヶ月分の報酬を受領できる。(○か×か)

答え: × 0.5 ヶ月分を超える受領の承諾は「媒介の依頼を受けるに当たって」得なければなりません。契約成立時の承諾では認められません。

Q5. 店舗用建物(借賃 20 万円)の貸借で、返還されない権利金 600 万円が授受される場合、双方から媒介の依頼を受けた宅建業者Aは、貸主・借主それぞれから 24 万円(税抜)まで報酬を受領できる。(○か×か)

答え: ○ 居住用建物以外なので権利金 600 万円を売買代金とみなし、600 万 × 3% + 6 万 = 24 万円。借賃 1 ヶ月分(20 万円)より高いため、双方それぞれから 24 万円まで受領できます。

Q6. 税抜 700 万円の宅地の売買の媒介において、宅建業者A(課税事業者)は、媒介契約の締結に際しあらかじめ報酬額を説明して依頼者と合意すれば、依頼者から 33 万円(税込)まで報酬を受領できる。(○か×か)

答え: ○ 800 万円以下の低廉な空家等の特例です。通常の上限(27 万円 × 1.1)を超えて、30 万円 × 1.1 = 33 万円まで受領できます。事前の説明と合意が要件です。

Q7. 甲県知事の免許を受けた宅建業者Aが乙県内の業務で業務停止処分事由に該当する行為をした場合、乙県知事はAに対して業務停止処分をすることができる。(○か×か)

答え: ○ 指示処分・業務停止処分は、免許権者に加えて業務地を管轄する知事もできます。

Q8. 甲県知事の免許を受けた宅建業者Aが乙県内で業務停止処分に違反する行為をした場合、乙県知事はAの免許を取り消すことができる。(○か×か)

答え: × 免許取消処分ができるのは免許権者(甲県知事)のみです。業務停止処分違反は必要的取消事由なので、甲県知事は免許を取り消さなければなりません。

Q9. 宅建業者Aが重要事項の説明を行わなかった場合、Aは監督処分の対象となるほか、50 万円以下の罰金に処せられることがある。(○か×か)

答え: × 重要事項説明義務違反に罰則はありません(監督処分のみ)。50 万円以下の罰金があるのは 37 条書面の不交付や帳簿の備付け義務違反等です。

Q10. 宅建業者Aが新築住宅を宅建業者Bに売却する場合、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託または保険加入の資力確保措置を講じなければならない。(○か×か)

答え: × 資力確保措置が義務付けられるのは、買主が宅建業者でない場合だけです。業者間の売買には適用されません。

Q11. 基準日から 3 週間以内に資力確保措置の状況の届出をしなかった宅建業者は、当該基準日の翌日から起算して 50 日を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できない。(○か×か)

答え: ○ 条文どおりの正しい記述です。「基準日以後直ちに」「30 日を経過した日以後」等に変えた肢が誤りの定番です。

Q12. 住宅販売瑕疵担保保証金を供託している宅建業者Aは、新築住宅の買主Bに対し、当該住宅の引渡しまでに、供託所の所在地等を記載した書面を交付して説明しなければならない。(○か×か)

答え: × 供託所の説明は「売買契約を締結するまで」に行います。「引渡しまで」では遅すぎます(買主の承諾があれば電磁的方法による提供も可能です)。

まとめ

この章は「数字が答えを決める」章です。最後に数字だけを縦に並べて焼き付けましょう。

論点覚える数字・キーワード
速算式5% / 4%+2万円 / 3%+6万円(税抜価格で計算)
消費税の上乗せ課税業者 × 1.1 / 免税業者 × 1.04
売買の受領枠媒介 1 倍・代理 2 倍・1 つの取引の合計は 2 倍まで
貸借合計 1 ヶ月分以内・居住用の媒介は一方 0.5 ヶ月分(事前承諾で変更可)
権利金の特例居住用建物以外のみ・売買とみなした額と 1 ヶ月分の高い方
低廉な空家等税抜 800 万円以下・一方から税込 33 万円まで・事前説明+合意
監督処分業者:指示 → 業務停止 1 年以内 → 免許取消/宅建士:指示 → 事務禁止 1 年以内 → 登録消除。最重処分は免許権者・登録地知事のみ。聴聞は原則必要だが所在不明の免許取消しは不要
罰則の急所無免許・名義貸し・業務停止命令違反 3 年以下拘禁刑/不当に高額の報酬の要求は要求だけで違反(1 年以下拘禁刑)/重説違反は罰則なし/宅建士の過料 10 万円以下
瑕疵担保履行法基準日 3/31・届出 3 週間以内・翌日から 50 日で契約禁止・55 ㎡以下は 2 戸で 1 戸・10 年責任

これで第 I 部・宅建業法の 20 問分がひととおり完成です。次章からは第 II 部・権利関係に入り、まずは民法の入口である制限行為能力者と意思表示を学びます。