宅建士合格教科書|2026年度(令和8年度)
第 4 章|例年 2 問出題

営業保証金と保証協会

数字の暗記が得点に直結する 2 大制度を、対比表と時系列図で固める

この章で学ぶこと

例年 2 問出題。ほぼすべての論点が「数字」と「手続の順序」なので、固めれば確実に得点できます。2 問とも確保が目標です。

営業保証金制度の全体像 — なぜお金を預けさせるのか

不動産の取引は動く金額が大きく、宅建業者が倒産したり無資力になったりすると、取引の相手方は損害の回収ができなくなります。免許制度(第2章)が「入口の審査」で悪質な業者を排除する仕組みだとすれば、営業保証金は「お金による担保」です。宅建業者は事業を始める前に、国の機関である供託所にまとまった金銭等を預けておき(これを供託といいます)、取引で損害を受けた相手方は、そのお金から弁済を受けられます(これを還付といいます)。

宅建業者A (免許を受けた者) 取引の相手方B (宅建業者を除く) 供託所 (主たる事務所の最寄り) 宅建業の取引で損害発生 ①1,000万円を供託 ②還付 還付の上限=供託額
図 4-1 営業保証金の三者関係。Aは供託所と、Bも供託所とやり取りする点に注目。Bが還付を受けると保証金が減るため、Aは後述の「不足額の供託」を求められます。

もっとも、1,000万円の現金をポンと出せるのは体力のある業者だけです。そこで、中小業者のために用意されたのが保証協会(本章後半)です。60万円の分担金で営業保証金と同水準の保護を実現する共済的な仕組みで、宅建業者は「営業保証金を自分で供託する」か「保証協会に加入する」かのどちらか一方を選びます。保証協会の社員(会員のこと)になれば、営業保証金の供託は免除されます。

2026年法改正

営業保証金・保証協会の分野には、2026年度(令和8年度)試験に向けた金額・期限の改正はありません。従来どおりの数字がそのまま出題されます。なお「還付を受けられる者から宅建業者が除外されている」のは施行済みの改正で定着した論点ですが、今も繰り返し狙われるので本章でしっかり押さえます。

供託の額・場所・方法と「開業までの順序」

営業保証金の額は、主たる事務所(本店)につき1,000万円、その他の事務所(支店)1か所につき500万円の合計額です。たとえば本店と支店3つなら 1,000万円+500万円×3=2,500万円。そして供託する場所は、事務所ごとの最寄りではなく、全額をまとめて主たる事務所の最寄りの供託所です。被害者がどこに請求すればよいか一目で分かるように、窓口を一本化する趣旨です。

供託は金銭のほか、一定の有価証券でも、金銭との併用でもできます。ただし有価証券は種類によって評価額が割り引かれます。

有価証券の種類評価例(額面1,000万円の場合)
国債証券額面の100%1,000万円と評価(本店分に足りる)
地方債証券・政府保証債証券額面の90%900万円と評価(本店分には不足)
その他の債券(省令で定めるもの)額面の80%800万円と評価

手続の順序はこの分野の最頻出論点です。免許を受けただけでは営業できず、供託しただけでもまだ営業できません。供託した旨を免許権者に届け出た後(届出には供託書の写しを添付します)で、初めて事業を開始できます。

① 免許 宅建業免許 ② 供託 営業保証金 ③ 届出 供託した旨 ④ 開業 事業を開始 供託所へ 免許権者へ 届出後に 【供託した旨の届出がない場合】 免許の日から3か月以内に 届出がない 催告(義務) 必ず催告する 免許取消し(裁量) 取り消すことができる 3か月経過 1か月経過
図 4-2 上段が開業までの順序(入替え問題が頻出)。下段の「1か月」は催告が到達した日から数えます。催告は「しなければならない」、取消しは「できる」——義務と裁量の区別まで問われます。
段階期間免許権者の行為の性質
免許をした日から届出がない3か月以内催告をしなければならない(義務)
催告が到達した日から届出がない1か月以内免許を取り消すことができる(裁量)

事務所を新設したときも理屈は同じです。新設1か所につき500万円を(やはり主たる事務所の最寄りの供託所に)供託し、その旨を届け出た後でなければ、その新事務所で事業を開始できません。

暗記テク

順序は「めんきょ → きょうたく → とどけで → かいし」とリズムで10回唱えて体に入れます。催告の数字は「3か月来ないと催告、なお1か月来ないと取消し可」。3→1の順で小さくなると覚えれば入替えに気づけます。

保管替えと二重供託 — 本店が引っ越したら

主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変わったときは、保証金の置き場所も移す必要があります。方法は供託物の種類で二択に分かれます。金銭のみで供託しているなら、遅滞なく、費用を予納して保管替えを請求しなければなりません(義務です)。お金は口座間で動かせるので、供託所同士の付け替えで済むからです。一方、有価証券が少しでも含まれていると保管替えは使えず、移転後の最寄りの供託所に新たに供託し直し(一時的に二重供託の状態になります)、その後で旧供託所から取り戻します。

主たる事務所を移転して 最寄りの供託所が変わった 供託物の種類で判定 金銭のみで供託? 金銭のみ 有価証券を含む 保管替えを請求する 遅滞なく・費用を予納(義務) 新たに供託(二重供託) 旧供託所分は公告不要で取戻し
図 4-3 「金銭の部分に限り保管替え請求できる」という中間の選択肢は存在しません。有価証券が1枚でも混ざれば全額を新供託所に供託し直します。

還付と不足額の供託 — 事故が起きたらどうなるか

還付を受けられるのは、宅建業者と「宅建業に関し取引をした者」で、かつ宅建業者でない者です。対象となる債権は、宅建業の取引(売買・交換・貸借の取引や媒介・代理)から生じたものに限られます。したがって、事務所の内装工事代金、広告代金、従業員の給料といった債権を持つ人は、たとえ業者が倒産しても営業保証金からは弁済を受けられません。また、取引の相手方が宅建業者である場合も還付は受けられません(プロは自衛できる、という趣旨です)。

還付を受けられる額は、供託されている営業保証金の額が上限です。還付が実行されると保証金が法定額より減るため、次の被害者を守れません。そこで業者には補充義務があります。免許権者から不足通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、さらに供託した日から2週間以内にその旨を免許権者に届け出なければなりません。

還付の実施 供託所から相手方へ 不足通知が届く 免許権者から業者へ 不足額を供託 業者が供託所へ 免許権者に届出 業者が免許権者へ 2週間以内 2週間以内 時間の流れ
図 4-4 起算点に注意。前半の2週間は「通知を受けた日」から、後半の2週間は「供託した日」から数えます。「還付があった日から2週間」に変えるひっかけが定番です。

取戻しと公告 — 預けたお金はいつ返るか

営業保証金が不要になれば、業者(や承継人)は供託した保証金を取り戻すことができます。取戻し事由は、免許の失効・取消し、一部の事務所の廃止(供託額が法定額を超えた分)、主たる事務所移転による二重供託(旧供託所の分)、保証協会への加入などです。

ただし、まだ還付を受けていない被害者がいるかもしれません。そこで取戻しには原則として、還付請求権者に対し「6か月を下らない一定期間内に申し出るべき」旨の公告をし、その期間内に申出がなかったことが必要です。例外的に公告なしで取り戻せるのは次の3つの場合です。

取戻し事由公告理由
免許の失効(有効期間満了・廃業等)・免許取消し必要被害者が残っている可能性がある
一部の事務所の廃止(超過額の取戻し)必要同上(保証協会との対比で頻出)
主たる事務所の移転(二重供託の旧供託所分)不要新供託所に全額があり保護は切れない
保証協会の社員となった不要弁済業務保証金が引き続き守ってくれる
取戻し事由の発生から10年経過不要還付請求権が時効で消滅している

保証協会のしくみと加入の手続

保証協会は、国土交通大臣が指定した一般社団法人で、宅建業者のみを社員とします。現在はハトのマークの全国宅地建物取引業保証協会と、ウサギのマークの不動産保証協会の2つがあり、加入は任意ですが、一の保証協会の社員となった者は、他の保証協会の社員になることはできません(二股禁止)。協会の業務は次のとおりで、「必ず行う業務」と「行うことができる業務」の区別が問われます。

区分業務の内容
必須業務①社員の取り扱った宅建業に係る取引に関する苦情の解決 ②宅建業の業務に従事し、または従事しようとする者への研修 ③弁済業務(弁済業務保証金による還付)
任意業務一般保証業務(社員が受領した支払金・預り金の返還債務等の連帯保証)、手付金等保管事業、研修費用の助成、宅建業の健全な発達を図るため必要な業務

任意業務の2つは中身が似ていて混同しやすいので、対象で切り分けます。一般保証業務が保証するのは社員が受け取った支払金・預り金の返還債務等で、手付金等保管事業は完成物件の手付金等を協会が預かる別の業務です。また必須業務の苦情解決では、協会は社員に文書・口頭の説明や資料の提出を求めることができ、社員は正当な理由がなければこれを拒めません(宅建業法64条の5)。「社員は資料の提出を拒むことができる」という肢は誤りです。

加入する業者は、加入しようとする日までに、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付します。額は主たる事務所60万円+その他の事務所1か所につき30万円で、金銭のみ(有価証券は不可)です。営業保証金と比べたスケール感を見てください。

営業保証金(供託所へ直接供託) 本店1,000万円+支店1か所500万円 弁済業務保証金分担金(保証協会へ納付) 本店60万円+支店1か所30万円 スケール比はおよそ16分の1。それでも還付の上限は営業保証金と同額
図 4-5 本店+支店1か所の場合の比較(1,500万円 vs 90万円)。負担は約16分の1に下がるのに、被害者が受けられる還付の枠は営業保証金相当額のまま——これが保証協会の共済的な性格です。

分担金の納付を受けた保証協会は、納付を受けた日から1週間以内に、同額の弁済業務保証金を供託所に供託します。供託先は業者の本店の最寄りではなく、法務大臣および国土交通大臣が定める供託所(東京法務局)に全国分が集約されます。供託した旨を社員の免許権者に届け出るのも協会の仕事です。なお、業者から協会への分担金は金銭のみですが、協会から供託所への供託は金銭でも有価証券でも構いません。供託所はお金のプロで有価証券を適切に評価・管理できるからです。

宅建業者(社員) 主60万・支30万 保証協会 (一般社団法人) 供託所 (東京法務局) 取引の相手方B (宅建業者を除く) ①納付 金銭のみ ②供託 1週間以内 宅建業の取引 ③認証の申出 ④還付 還付の限度=社員でないとした場合の営業保証金相当額
図 4-6 業者が供託所と直接やり取りする場面はありません。「納付=業者→協会」「供託=協会→供託所」「認証=協会が行う」「還付=供託所(東京法務局)から」と、動詞と主体をセットで覚えます。

社員が事務所を新設したときは、その日から2週間以内に、増設分の分担金(1か所30万円)を協会に納付しなければなりません。納付を怠ると社員の地位を失います。営業保証金の「供託+届出をしてからでないと新事務所で営業できない」(事前)と、保証協会の「設置後2週間以内に納付」(事後)の違いは対比で狙われます。

弁済業務保証金の還付・還付充当金・社員の地位

保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者(社員となる前の取引の債権者を含み、宅建業者を除く)は、その債権について弁済業務保証金から還付を受けられます。限度額は納付した分担金の額ではなく、その社員が保証協会の社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の額に相当する額です。手続としては、まず保証協会の認証(債権の確認)を受け、その上で弁済業務保証金が供託されている供託所(東京法務局)に還付請求します。

還付が実行されると、その後はドミノ式に補充が進みます。期限の連鎖を図で押さえましょう。

①還付が実施される 大臣の通知から2週間以内 ②協会が同額を供託(立替え) 協会の通知から2週間以内 ③社員が還付充当金を納付 納付しない 社員の地位を喪失 1週間以内 営業保証金を供託(義務) 怠れば業務停止処分の対象 納付すれば 社員の地位を維持 そのまま営業を継続できる
図 4-7 まず協会が2週間以内に供託して穴を埋め(立替え)、次に原因を作った社員が2週間以内に還付充当金で協会に弁償する二段構え。地位を失った後の「1週間」だけ単位が変わる点が狙われます。

社員から還付充当金が納付されない場合に備えて、協会はあらかじめ弁済業務保証金準備金を積み立てています。それでもなお不足するときは、全社員に特別弁済業務保証金分担金の納付を通知し、社員は通知を受けた日から1か月以内に納付しなければなりません。怠ると、やはり社員の地位を失います。

社員の地位を失った業者は、その日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(怠れば業務停止処分の対象です。協会は地位喪失を直ちに免許権者に報告します)。なお、取戻し・返還の場面では、協会は弁済業務保証金の取戻し自体は公告なしでできますが、業者への分担金の返還には手順があります。社員が地位を失ったときは、保証協会が6か月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告し、その期間が経過した後でなければ分担金を返還できません。一方、一部の事務所を廃止した場合の返還には公告は不要です。営業保証金(一部廃止でも公告必要)と結論が逆になるので、対比で覚えてください。

暗記テク

期限は「2週間が基本」(不足額の供託・還付充当金・供託後の届出・新設分担金)でまとめ、例外の「特別分担金だけ1か月」を別枠で記憶。1週間は「協会の供託」と「地位喪失後の営業保証金」の2つだけです。ただし起算点は場面ごとに違います。不足額の供託と還付充当金は「通知を受けた日」から、供託後の届出は「供託した日」から、新設分担金は「事務所を設置した日」から数えます。同じ2週間でもどこから数えるかは別に覚えてください。

完全対比表と「供託所等に関する説明」

本試験の選択肢は、2つの制度の数字・手続を入れ替えて作られます。この表が本章の集大成です。

項目営業保証金保証協会(弁済業務保証金)
お金の出し先主たる事務所の最寄りの供託所に供託協会に分担金を納付→協会が東京法務局に供託
金額本店1,000万円+その他500万円/所本店60万円+その他30万円/所
納める物金銭・有価証券(国債100%・地方債等90%・その他80%)分担金は金銭のみ(協会の供託は有価証券可)
開業・加入の手続免許→供託→届出後に事業開始加入しようとする日までに納付(供託・届出は協会が行う)
事務所の新設供託+届出の後でなければ新事務所で営業不可設置の日から2週間以内に納付(怠ると地位喪失)
還付の限度額供託されている営業保証金の額社員でないとした場合の営業保証金相当額
還付の手続供託所に還付請求協会の認証を受けて供託所(東京法務局)に請求
還付後の補充通知から2週間以内に供託、供託から2週間以内に届出協会が2週間以内に供託→社員は通知から2週間以内に還付充当金
取戻しの公告原則必要(6か月以上。一部事務所廃止でも必要)地位喪失時は協会が公告(分担金返還の要件)。一部事務所廃止は公告不要

最後に、この分野と35条(重要事項説明)をつなぐ論点が供託所等に関する説明(宅建業法35条の2)です。宅建業者は、取引の相手方等(宅建業者を除く)に対し、契約が成立するまでの間に、次の事項を説明するようにしなければなりません。

業者の立場説明する事項
営業保証金を供託している業者供託所およびその所在地
保証協会の社員社員である旨、協会の名称・住所・事務所の所在地、弁済業務保証金の供託所およびその所在地

この説明は重要事項説明と異なり、宅建士が行う必要はなく、書面の交付も不要です。また、供託している金額は説明事項ではありません。「営業保証金の額を説明しなければならない」という肢は誤りです。

ひっかけポイント

ここがひっかけ① 主語と相手の混同

「宅建業者は弁済業務保証金を供託所に供託しなければならない」→ ×。業者がするのは協会への分担金の納付だけで、供託所とやり取りするのは協会です。動詞で判別しましょう。納付=業者→協会(金銭のみ)/供託=協会→供託所(有価証券可)/還付=供託所→相手方。

ここがひっかけ② 還付の限度額と対象者

「弁済業務保証金の還付は分担金の額(60万円)の範囲内」→ ×。正しくは営業保証金相当額(本店のみなら1,000万円)の範囲内です。また「社員となる前の取引の債権者は還付を受けられない」→ ×(受けられます)。逆に「宅建業者である債権者も還付を受けられる」→ ×(どちらの制度でも業者は除外)。

ここがひっかけ③ 期限の単位の入替え

「協会は納付を受けた日から2週間以内に供託」→ ×(1週間)。「地位を失った日から2週間以内に営業保証金を供託」→ ×(1週間)。「還付充当金は通知から1か月以内」→ ×(2週間。1か月は特別分担金)。数字はまとめて表で覚えるのが最短です。

ここがひっかけ④ 公告の要否のクロス

営業保証金は一部の事務所を廃止した場合の取戻しでも公告必要、保証協会の一部事務所廃止は公告不要——結論が逆です。さらに「保証協会に加入したときの営業保証金の取戻し」は公告不要。どの場面の話かを見極めてから答えましょう。

一問一答で総仕上げ

Q1. 宅建業者A(甲県知事免許)が主たる事務所のほかに3つの事務所を設置して事業を開始する場合、営業保証金の合計額は2,500万円であり、それぞれの事務所の最寄りの供託所に分けて供託しなければならない。(○か×か)

答え: × 合計額2,500万円(1,000万円+500万円×3)は正しいですが、供託先は主たる事務所の最寄りの供託所に一括です。前半が正しい肢ほど後半を読み飛ばしがちなので注意しましょう。

Q2. 宅建業者Aは、営業保証金を供託すれば、その旨を免許権者に届け出る前であっても事業を開始することができる。(○か×か)

答え: × 供託した旨の届出をした後でなければ事業を開始できません。「免許→供託→届出→開始」の順序は絶対です。

Q3. 免許権者は、免許をした日から3か月以内にAが営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、直ちにその免許を取り消すことができる。(○か×か)

答え: × まず届出をすべき旨の催告をしなければならず(義務)、催告が到達した日から1か月以内に届出がないときに初めて免許を取り消すことができます(裁量)。「直ちに」が誤りです。

Q4. 額面金額1,000万円の地方債証券を供託しても、主たる事務所の分の営業保証金としては不足する。(○か×か)

答え: ○ 地方債証券は額面の90%(900万円)で評価されるため不足します。額面どおり100%で評価されるのは国債証券だけです。

Q5. 金銭のみで営業保証金を供託している宅建業者Aが主たる事務所を移転し、最寄りの供託所が変わったときは、遅滞なく、費用を予納して営業保証金の保管替えを請求しなければならない。(○か×か)

答え: ○ 金銭のみの場合、保管替えの請求は「できる」ではなく「しなければならない」(義務)です。

Q6. 金銭と有価証券をあわせて営業保証金を供託している宅建業者Aが主たる事務所を移転し、最寄りの供託所が変わった場合、金銭の部分に限り保管替えを請求することができる。(○か×か)

答え: × 有価証券が含まれていると保管替えは一切できません。移転後の最寄りの供託所に全額を新たに供託し(二重供託)、旧供託所の分は公告なしで取り戻します。

Q7. 宅建業者Aの事務所の内装工事を請け負った建設業者は、その工事代金債権について、Aが供託した営業保証金から還付を受けることができる。(○か×か)

答え: × 還付の対象は「宅建業に関し取引をした者」の債権に限られます。内装工事・広告・給料などの債権は宅建業の取引から生じたものではないため対象外です。

Q8. 宅建業者Bは、宅建業者Aと宅建業に関する取引をして損害を受けた場合、Aが供託した営業保証金から還付を受けることができる。(○か×か)

答え: × 宅建業者は還付の対象から除外されています。この除外は弁済業務保証金(保証協会)でも同じです。

Q9. 還付により営業保証金に不足が生じたときは、宅建業者Aは免許権者から不足通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、供託した日から2週間以内にその旨を免許権者に届け出なければならない。(○か×か)

答え: ○ 「通知から2週間で供託、供託から2週間で届出」の二段構えです。起算点を「還付があった日」に変えるひっかけに注意しましょう。

Q10. 保証協会の社員である宅建業者Aが新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に弁済業務保証金分担金30万円を金銭で納付しなければならず、納付しないときは社員の地位を失う。(○か×か)

答え: ○ 設置した日から2週間以内・金銭のみです。営業保証金の新設事務所(供託+届出の後でなければ営業不可)との違いも整理しておきましょう。

Q11. 保証協会の社員Aと宅建業に関し取引をして損害を受けた者が弁済業務保証金から還付を受けるには、保証協会の認証を受けた上で、当該保証協会に対し還付請求をしなければならない。(○か×か)

答え: × 認証を行うのは保証協会ですが、還付請求の相手は弁済業務保証金が供託されている供託所(東京法務局)です。「協会に請求」は定番の誤り肢です。

Q12. 保証協会の社員の地位を失った宅建業者は、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。(○か×か)

答え: ○ 1週間以内です。「2週間」に変えるひっかけが頻出です。なお、一度失った社員の地位は納付しても回復しません。

まとめ

この章は数字がすべてです。金額・期間を1枚に凝縮します。

数字場面補足
1,000万円/500万円営業保証金(本店/その他の事務所1か所)主たる事務所の最寄りの供託所に一括
60万円/30万円弁済業務保証金分担金(本店/その他1か所)金銭のみ・加入しようとする日まで
100%・90%・80%有価証券の評価(国債・地方債等・その他)分担金には有価証券不可
3か月→1か月供託の届出がない場合の催告→免許取消し催告は義務・取消しは裁量
1週間協会の供託/地位喪失後の営業保証金の供託「協会が動く」「後始末」は1週間
2週間不足額の供託・供託後の届出・還付充当金・新設分担金起算点は別(届出=供託日/新設=設置日)
1か月特別弁済業務保証金分担金の納付準備金でも足りない非常時だけ
6か月以上取戻しの公告期間不要: 二重供託・協会加入・10年経過

営業保証金と保証協会は「同じ目的を別ルートで実現する制度」なので、常にペアで思い出す癖をつけてください。次章では、取引の入口となる媒介契約(34条の2書面とレインズ)のルールを学びます。